映画批評 「グリーン・マイル」

この映画は1996年に発売されたスティーブン・キングの小説「グリーン・マイル」を映画化したものだ。監督は「ショーシャンクの空」の監督でもあるフランク・ダラボン、主演はトム・ハンクスである。

老人ホームで過ごすポールは恐慌時代は刑務所の管理主任で、死刑を前にした囚人にも誠実に応じる看守だった。そこに少女強姦殺人の容疑で逮捕された黒人の囚人ジョン・コーフィーが収容される。心優しいジョンと関わるにつれてポールはジョンの罪状に疑問を持つようになる。

触るだけで病気や怪我を治癒することができるなど不思議な力を持つジョンはある日ポールの手を握って記憶を伝え、実は自分に着せられた罪は冤罪であることを告げる。冤罪であることを証明することが出来ないポールや周りの看守たちはポールに脱獄することを勧めるが、「生きるのに疲れた」というジョンはそのまま死刑宣告を受け入れ、死んでしまう。

ジョンが生きているときに不思議な力で尿道炎を治してもらったポールや踏み潰されて瀕死になっていたのを生き返られさせたネズミはジョンの力のおかげで、長い年月が経っているにも関わらず死なずに過ごしている、というのがこの映画のあらすじだ。

感想としては、はっきり言って長すぎるというのが第一に出る。189分間の中でこのシーンは必要なのかと疑問に思うところがいくつかあった。必要なシーンだけをとりあげろというわけではないがそれでも観ていて終わりが見えなくて苦痛に感じたので、もう少し簡潔にまとめてほしいと思った。

それでもアカデミー賞4冠を受賞し、多くの人の心を動かしているのは救われるべきジョンが自ら死を選び、そのジョンを救えなかったポールが生き続けなければいけないことに虚しさと切なさを感じるからだろう。人は各々の理想とかけ離れた現実を行きている。それが死刑が執行される電気椅子に繋がるグリーン・マイルのようであると感じさせられることがこの映画の魅力なのであろうと感じた。